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Q&A 教授法

教授法についてよく受ける質問にお答えします


Q1: 直接教授法とは何ですか

A: わかりやすく言うと、英語のネイティブ・スピーカーを人工的に作り出す方法です。そのための方法として、英語の意味を直接教え、英語を直接理解できるようにします。直接教授法では、基本的に、赤ん坊が母語を習得するのと同じ方法を用います。19世紀終わりごろから20世紀初頭にかけて、フランスの文部省による外国語学校の調査で、外国語学校で一般に使われていたこの教授法を直接教授法と呼んだことから、以後、この種の教授法を「直接教授法」と呼ぶようになりました。別名、直接法とも呼びます。初期の頃の実践者としては、François Gouin(フランソワ・グアン)(1831-1896)が有名です。ネイティブ・スピーカーと同じタイプの英語力を身につけない限り、英語ができるようになることはありません。よって、英語ができるようになりたい場合、直接教授法が唯一の選択肢になります。


Q2: 武和直接教授法(TDM)は、普通の教え方とは違う特殊な教授法なのですか?

A: 英語の教え方は、大きく分ければ、直接教授法か間接教授法の二つです。間接教授法と言うのは、文法翻訳法のことです。文法翻訳法は、無能教師の隠れ蓑(かくれみの)と呼ばれていて、提唱者も研究者も特にいません。その一方、特に直接教授法の流れでは、過去百数十年以上もよく研究されてきていますので、様々な教え方が確立しています。この様な状況にありますから、英語を教える場合、何かの教授法を使って教えるのが当たり前です。「普通の教え方」というのは存在しないのです。

しかし、きちんとした教授法に基づいて教えている学校は、極めて少ないのが現状です。こういう状況は外国語学校でも公教育の学校でも同じです。そう言うのは、「普通の教え方をしている」と言うのではなく、「何も知らない素人の教師」が「適当な教え方」をしていると言うべきです。

武和直接教授法(TDM)は、Q1に説明した直接教授法の流れをくむ教授法の一つです。適当に外国人に英語を教えさせて、直接教授法を謳っている詐欺まがいの学校の教授法と区別していただくために、学院長の武和が考案した直接教授法と言うことで、「武和直接教授法(TDM)」という名称で呼んでます。


Q3: 文法翻訳法とTDMでは、どう違いますか?

A: 現在、学校で行われている主流の教授法は、文法翻訳法と呼ばれています。文法翻訳法は、実用的な英語を覚えるための方法ではありませんから、この方法では、実用的な英語が習得されることはありません。TDM(武和直接教授法)は、実用的な英語を目指した教授法、つまりネイティブ・スピーカーの英語力と同じ英語力を目指した教授法です。よって、TDMを使えば、実用英語を効果的に習得できます。

文法翻訳法とTDMの違いは、文法を教えるかどうかではありません。文法のどういう側面を教えるかの違いです。文法翻訳法では、文法は翻訳をするための道具です。言い換えると、英語を分析して、解読するための道具です。一方、TDMでは、文法を使える様にすることが目的になります。つまり、TDMでは、文法は、英語を言語として習得するための道具であり、言語習得の一側面になるわけです。

例えば、TDMでも、英語には複数形があることを教えます。しかしそれだけではなく、英語を話したり、書いたりしたときに、考えなくても、自動的に正しく複数形が使えるようになるようにします。もし間違えたら、その都度、直して行きます。そして最終的には、複数形が正しく使えるようになっていきます。

生徒から見て、大きな違いは、文法翻訳法では、文法問題を解くことに多くの時間が割かれるますが、文法問題を解くことは、英語の文法を習得する上であまり役に立たないため、TDMではそう言うことは、ほとんど行いません。ただ、TDMでも文法習得が目標の一つであることは変わりありません。但し、文法翻訳法とは、その趣旨がまるで違うということです。

例えば、複数形の習得なら、複数形の文法問題が解けるようにすることが目標ではなく、自然に英語を話したり、書いたりしていて、考えなくても複数形が自動的に正しく使えるようにすることが目標なのです。複数形の問題が解けるようになるのは、その結果に過ぎません。


Q4: 学校で文法翻訳法を教えていると言うことは、文部科学省は文法翻訳法を正当な英語教授法と認め、文法翻訳法を推進しているということですか?

A: いえ、違います。文部科学省は文法翻訳法を好ましくない英語教授法と考え、学習指導要領で禁止しています。文部科学省が推進しようとしているのは、昔から、直接教授法です。大学の教員養成課程でも、文法翻訳法をやらないように指導しています。そして、直接教授法を推進する指導を昔から行っています。

ただ、教育現場では、教師の自由裁量で勝手なことができるのが現状です。文法翻訳法は、教えるのが楽で、手間暇がかかりません。一方、直接教授法は時間と労力がかかり、かなりの努力が必要になります。教育現場では、担当の教師が一番楽な方法を選ぶと言う傾向が非常に強く、そのため、特に頑張っているわずかな教師を例外として、ほとんどの教師は、文法翻訳法を使い続けています。

また、文法翻訳法が入試で有利だと思いこんでいる父兄が存在し、学校に圧力をかけるケースがあり、これが直接教授法の普及を妨げています。教師の立場からすると、生徒がどうなろうと知ったことではないため、この様な状況下では、特別にやる気があるわけではない教師は楽な文法翻訳法を選択します。


Q5: TDMでは、発音は教えていますか?

A: TDMでは、発音を非常に重要視しています。そもそも、発音が正しくないと、相手にうまく通じません。間違ったつづりで英語を書くのと同じことです。また、そう言う素人でもわかる明白な理由だけでなく、発音は、英語力の基礎であるという見方から非常に重視しています。発音が正しくなければ、文法の習得もできません。

発音は、学習の最初にしっかりさせないと、後から直すことは非常に困難になります。たとえ直すことができたとしても、そのために膨大な時間を費やすことになります。TDMの授業における最初の目標は、正しく発音できるようになることです。最初に発音をしっかりさせることが英語学習の最短の道なのです。よって、ネイティブ・スピーカーと同レベルの発音になるまで、最初の時点で徹底的に発音を直します。

ネイティブ・スピーカーと同レベルの発音になるまで鍛えるというと、難しそうに思えるかもしれませんが、しっかりとした英語音声学の知識のある指導者が教えれば、割と簡単です。開始年齢が若いほど、正しい発音を身につけるのは、容易になります。

英語音声学と発音指導

しっかりした内容の英語音声学は、一流大学の英語系の学科で教えています。二流大学以下で教えていることはまれです。指導をするのは、英語音声学者です。二流大学を出た教師で英語の発音の指導がまともにできる人は、まずいないと思っていいです。もちろん、一流大学の英語系の学科を出ていても、英語の発音の指導がまともにできる人は極めてまれです。なお、ネイティブ・スピーカーだと発音の指導ができるわけでもありません。日本語音声学の知識がある日本人がほとんどいないのと同じことです。素人が発音を教えると、間違った発音を正しい発音として教えてしまうことになります。また、生徒の発音が間違っていることに気がつかなかったり、気がついても、どうしたら正しい発音になるのかわからなかったりします。単なるネイティブ・スピーカーは、無意識に発音をしているので、自分がどうやって発音しているのかを知りません。


Q6: TDMは、聞く、話す、読む、書くのどれに重点を置いた教え方ですか?

A: 英語には、聞く、話す、読む、書くの四技能がありますが、TDMは、そのうち、どれか一つの技能の習得を目指すものではなく、英語を、あらゆる側面から見て、完璧に習得することを目指した教え方です。どれかに重点を置くという片寄った教え方を否定しています。その辺が、一つの特色とも言えます。

完璧な英語力という高い英語力を目標とする理由の一つには、将来的には今よりずっとレベルの高い英語力が必要になるだろうということもあります。また、中には英語を専門とする職業につく人もいることでしょうし、英語の教師になる人もいるかもしれません。そう言う人たちは、英米人並の高い英語力に到達しなくてはなりません。たいていの場合は、学習開始時点では、そういう将来のことまではわかりませんから、あらゆる可能性を考えて、全ての技能において高いレベルを目指す教授法を取るべきだと思います。

大学進学の際に、生半可な英語力で英語系の学科に進むと非常に困ったことになりますから、そう言う観点からも完璧な英語力は必要だと思います。もし英語系の学科に進むことを考えている場合、「試験に出ないから、いい加減でいい。」という考え方はだめです。大学に行ったら、実用的な英語の勉強をすればよいと考えていたら、大きな間違いです。


Q7: ちょっと英語ができれば、いいのではないですか?

A: 一般に、「ちょっと英語できれば」という希望を言う方に、どういうレベルのことを言っているのか、よくうかがってみると、「英語で言いたいことが言えるようになりたい」、「ラジオのディスクジョッキーの人が日本語を話しているように楽しく英語を話せるようになりたい」ということのようです。しかし、それは、実は、極めてレベルの高い英語力だと言えます。英検1級でも到底無理です。そういうレベルは、普通、英語の達人と言われるレベルです。

TDMは、そう言う達人レベルの英語力に到達させるための教授法です。ほとんどの人がそう言うレベルの英語力を目指しているのなら、TDMは、ほとんどの人にとって、最も適した教授法だと言えると思います。

実際、正真正銘ちょっとだけ英語ができるという状態だと、実際には何もできません。例えば、挨拶しかできなければ、本題に進むこともできません。結局、英語が使えるようになると言うことは、非常に高いレベルの英語を身につけるということになります。


Q8: TDM以外には実用英語の教授法はありませんか?

A: いろいろありますが、実用英語の教授法は、全て、直接教授法の仲間になります。つまり、広義の直接教授法に分類される教授法になります。一番多いのは、Communicative Approach(コミュニカティブ・アプローチ)です。Audio-Visual Method(オーディオ・ビジュアル・メソッド)というものもあります。いずれにしても、どういう教授法が用いられるかは、生徒の側の理由よりも、教える側の理由で決められることが多いです。

例えば、教師の技能のレベルとか、学校、教室の設備とか言ったことです。オーディオ・ビジュアル・メソッドを使いたくても、ビデオ機器がない学校では、実施できません。英語を話せない教師がいる学校では、コミュニカティブ・アプローチは使えません。教師全員が英語を話せたとしても、そのレベルが低ければ、高いレベルの英語力を必要とする活動は取り入れられません。どういうレベルの教師がどういう装置や道具を使って教えるかで、教授法や活動内容は変わってくるわけです。

教授法の難易度

教授法によって、難易度が様々なので、教える先生のレベルによって、実行可能な教授法が異なってきます。ゲームをやっているだけのコミュニカティブ・アプローチは難易度が低いです。英検1級なら実行可能です。ソフィア外語学院のTDMは最高難易度の教授法になります。英検1級でも実行は困難です。

いずれにせよ、英語ができるようになるのは、直接教授法しか選択肢がありません。つまり、直接教授法以外で英語ができるようになることはありません。これは英語の世界では常識です。


Q9: TDMとコミュニカティブ・アプローチはどう違うのですか?

A: 英語教育の世界では、コミュニカティブ・アプローチがよく提唱されていますので、TDMもコミュニカティブ・アプローチだと思われてしまいがちですが、TDMはコミュニカティブ・アプローチとはかなり違います。以下に、それぞれの特徴、主な活動を記述し、両者の違いについて述べたいと思います。

コミュニカティブ・アプローチ

コミュニカティブ・アプローチは、最低数人から最大数十人程度のクラスで教える場合に使われます。英語のゲームを中心とした活動を行い、文法は教えず、生徒が誤った英語を使っても、修正しません。つまり、誤りを許容すると言う特色があります。言葉の意味もあまりいちいち教えません。英語が使えるだけで、英語に関する言語学的な知識を持たない英語のネイティブ・スピーカーが典型的な教師として想定されています。

コミュニカティブ・アプローチではなぜ誤りを直さないのか

コミュニカティブ・アプローチでは、生徒が間違えても、普通、直しません。なぜ直さないのかと思うかもしれませんが、クラスの人数が多いので、時間的な都合で直せないと言うことが一つにあります。いちいち直していたら、5人か10人の生徒を直すだけで授業時間が終わります。しかし、理論的な側面からも直すことを否定しています。と言うのも、コミュニカティブ・アプローチは、理論上の根拠として、「英語の社会には、スペイン語系の人もいれば、フランス語系の人もいて、みんな様々な英語を話している。よって、日本人は日本人のような英語を話せばよい。」という考え方を採用しているからです。しかし、スペイン語みたいな英語を書いて、それに対して仕事としてお金がいただけるかというと、それは非常に難しいです。つまり、コミュニカティブ・アプローチで学んだ英語には経済的な価値がありません。もし避けることができるのなら、コミュニカティブ・アプローチは避けて、TDMの様な教授法の方が好ましいです。

武和直接教授法(TDM)

TDMは基本的に1対1、最大でも3人以下のセミ・プライベートレッスンで教える場合に特化した教え方です。TDMでは、静止画や動画を使って、言葉の意味を教えることが中心になります。文法や音声学の知識も教え、生徒が誤った英語を話したり、書いたりした場合、修正をして、正しい英語が話せて、書けるようにします。聞く、話す、読む、書くの英語の4技能が全て高いレベルでできて、かつ、英語に関する言語学的な知識を豊富に持っている教師が典型的な教師として想定されています。よって、基本的に日本人が典型的な教師として想定されています。

効果の違い

コミュニカティブ・アプローチは、教室内の授業では、あまり単語やイディオムや文法が習得されることはありません。しかし、英語が話されている米国や英国などの地域では、教室外で単語やイディオムを習得する機会が豊富なため、教室外で言葉を覚えてくることが期待できます。そこで、教室内でコミュニカティブ・アプローチのやり方で話す環境を作ってやれば、英語を話すことに慣れると言うところまでは、授業の効果として期待できます。しかし、日本の様な英語が話されていない地域では、教室外であまり単語やイディオムを習得することがないため、教室内で、コミュニカティブ・アプローチを実行しても、実際にはあまり効果が期待できず、英語を習得するのは困難だと考えられます。

しかし、メリットとしては、大人数での授業を想定しているため、時間当たりのコストを比較的安くすませることができる点が挙げられます。また、実際問題、ゲームをやるだけなので、ネイティブ・スピーカーを連れてきて、教師にしてしまえばよいため、学校としては、実行しやすいです。逆に言えば、低学歴で、かつ、教師としてふさわしくない人物が教師をしていることがかなり多いです。

一方、TDMは、誤りを許容しないので、正確な英語が使えるようになります。よって、正確な英語力を必要とする場合に向いています。例えば、仕事や研究に使う場合は、TDMが適しているでしょう。TDMでは、教室内だけで学習を完結させることを想定していますので、授業を受けるだけで、英語力が伸びます。ただ、高度な英語力を身につけている上に、言語学の知識もあると言う教師は極めてまれなため、学校としては、適当な教師を見つけるのが極めて難しいです。

ゲームをすることで生まれる制限

コミュニカティブ・アプローチでは、ゲームができる人数で教えますから、大人数になります。そう言う状況で、単語をいちいち教えているとゲームをする時間がなくなります。また、そのような大人数のクラスで発音や文法を直す活動をしていると、やはりゲームをする時間がなくなります。つまり、単語を教えたり、発音や文法を直す活動は、ゲームと両立しにくいのです。だから、やりたくてもやれません。

TDMでは、言語学習を通じて、知識を広げ、思考力を養成することを大変重視していますが、コミュニカティブ・アプローチには、そのような発想は全くありません。TDMでは、言語学習と共に知的能力を発達させることが、総合的な教育の見地と言語運用上の必要性の2点から、重要と考えており、そのための活動を積極的に行います。

コミュニカティブ・アプローチでは、言葉を直すということはしないため、いつまでも文法、発音、語法などの点で誤った文を使って話すことになります。一方、TDMでは、積極的に誤りを直しますので、正しい英語に近づいていきます。TOEICやTOEFL、実用英検、学校や入試の英語のテストなどでは、おそらく、TDMの方が相当に高い得点をあげるものと思います。但し、どちらも広い意味で同じ直接教授法であり、よく似ていますので、専門家でないと全く区別がつかないと思います。


Q10: 直接教授法と言うことを謳っている語学学校は全部安心できますか?

A: ほとんどの場合、怪しいです。単にネイティブ・スピーカーを連れてきて教えさせているので、直接教授法だと言っているだけの場合がほとんどだからです。きちんとした研修を受けていないと、ネイティブ・スピーカーが生徒に英語でしゃべりまくっているだけと言う授業になります。

もし授業で単語を教えるとなると、大量の絵が必要になります。授業で絵をたくさん使っているかどうかとか、そう言う絵が用意されているかどうかが見分けるポイントになります。絵の量が足りなければ、教師が10秒から数十秒程度の短時間に上手に絵を描くと言う技能を身につけていないといけません。美大でも出ていない限り、普通は無理です。

TEFLやTESLの有資格者を謳っている学校もありますが、上手に教えられるだけの技能を身につけさせている教育プログラムは存在しません。自動車の運転免許の教習にたとえて言うと、構内のレーンを走る練習ぐらいまでしかしていません。つまり、まだ外の道を走る練習をしていないレベルに過ぎません。また、そもそも教えている内容は、コミュニカティブ・アプローチだけです。少人数やプライベート・レッスンでの直接教授法のやり方を教えている教育プログラムは全くどこにも存在しません。そう言う内容の教育プログラムは、現場(つまり、各外国語学校)の研修だけです。しかし、一般に、外国語学校における研修は、10時間から、多くて40時間(一週間)程度です。しかも、ごく一部の外国語学校でしか研修をやっていません。文献もないので、独習もできません。有資格者と言っても、素人と大差はないと言ってもいいでしょう。

教えているネイティブ・スピーカーの大半は、自国でよい職に就けていない人か、ぶらぶらしている人がほとんどです。例えば、兵役義務で軍隊に入ったが、兵役義務が終わったので、ぶらぶらしているといった人たちです。一流大学卒の優秀な人材が、日本の英会話スクールで英語のネイティブ・スピーカーとして教えているというケースはまずありません。何が問題かというと、ろくな英語を話したり、書いたりできませんし、教養も低いです。発音も標準的ではありません。教師としての資質がない人も多いです。

Q11: 英語教育の専門家が教えなくても、素人のネイティブ・スピーカーとおしゃべりをする授業を受ければ、英語が話せるようになるのではないでしょうか?

A: 外国語として英語を学習する場合、応用言語学に詳しい英語教育の専門家が教えないと、うまく英語を習得することができません。これは昔から言われていることです。悪徳英会話スクールが、簡単に英語が話せるようになるかの様な宣伝をしていることがありますが、それは全てうそです。

事故や病気などで脳に損傷が生じて、言語を失ってしまうことがあり、失った言語を取り戻すことは困難を極めます。最近の研究で、こうして失った言語を取り戻すことは、外国語の習得と生理学的に同じことであることがわかっています。つまり、言語療法士が行っている治療と同じことを、英語の教師は、外国語で行っていると言えます。専門的知識の有無で大きな差が生まれるのは当然です。

赤ちゃんの時から、毎日数時間、ネイティブ・スピーカーと英語でおしゃべりをする授業を受けているのであれば、そのネイティブ・スピーカーが素人でも、英語の習得は進むと考えられます。しかし、そう言うことをする人はいませんので、確かなことはわかりません。しかし、日本語をある程度まで習得した人(小学生または中学生以降の人)が単に英語でおしゃべりをする授業を受けても、英語の習得はあまり進まないというのは、すでに実証済みの事実です。年齢が進むにつれ、英語の習得は困難です。最大の効果が出すには、専門家による指導が必須です。

英語教育の専門的知識

英語教育の専門的知識は、応用言語学などの学問から得ることができます。英語教育の専門的知識は、主に応用言語学の知識となりますが、応用言語学は、一般言語学とは全く違う学問です。また英語学とも全く違います。応用言語学の他に必要な学問は、心理学、特に教育心理学です。それから、生理学の知識も必要になります。また、言語病理学の知識も必要です。英語のテストについては、心理測定や言語測定の専門的知識が必要です。なお、学習全般については、心理学が扱う問題になります。

マスコミなどでも英語教育の問題や学習全般の問題について話題にしていることがありますが、でたらめが多いので、御注意下さい。新聞や雑誌の記者、テレビ番組制作スタッフは、応用言語学者でもなければ、心理学者でもないので、何も知りません。あれはただの娯楽です。